ル・コルビジェ不朽の名作【LCシリーズの椅子】
今も病院や会議室などでよく見るこの形。実はル・コルビジェさんが1928年に発表したデザインだそう。
そんな昔のデザインだったなんて驚き…!しかもフォルムはほとんど変わってないんだとか。
シンプルだからこそ、不変に受け入れられる美しさ。
※あくまで個人が学んだことの備忘録ですのでご了承ください。
LCシリーズ
そもそもLCシリーズの家具たちは、コルビジェさんがインテリアを装飾とか芸術から切り離して、生活のための機能美を追求して作られたもの。お得意のモデュロールを使って設計したのでしょう(きっと)。皮目の方向まで計算されている念入りさ。
LC1:スリングチェア/バスキュラントチェア
座る人の姿勢によって背もたれが動くという一人用のチェア。バスキュラントとはバスクール・ブリッジ=跳ね上げ式の橋からきてます。軍用のサファリタイプの椅子からアイデアを得たと言われてるらしい。可動性の背もたれと肘掛けによって、疲れにくさを実現した椅子。
LC2/LC3:グランドコンフォート
「大いなる快適」なんていうたいそうな呼び名をもつソファ。パイプフレームに皮の座面、背、肘掛けをはめ込んだ単純シンプルな構造。ちらっと見ただけで水平・垂直・直角が重視されているのが伝わります。中身はウレタン素材だけで作られており、これは当時としては斬新なアイデアだったよう。
今では意匠権が切れているのでたくさんのリプロダクト製品が出回っています。確かに見覚えある気がする。
LC2とLC3の違い
コルビジェさんのソファは使用感や人数によって複数作られています。一見そっくりなLC2とLC3は座ってみるとその違いがわかりやすい。
LC2
ダブルクッションで形の崩れにくい固めの作りで幅は狭め。ダブルクッションなので座面は少し高めです。カッチリした印象なので、公的空間やオフィスに適したモデル。姿勢を正して背を付けずにピシッと座るのが似合う感じ。座面が狭めに作られていてホールド感を楽しむソファです。
LC3
シングルクッションになっており、LC2よりもふんわりと沈み込むソフトな作りで幅は広め。座面、背もたれが低めなのでリビングでローテーブルに合わせて使用するのに適したモデル。日本のお部屋は天井が低いので、部屋が広く見えるという点でも喜ばれそう。ゆったりしたクッションでリラックス感を味わうソファです。
余談で、ヨーロッパからの輸入ソファテーブルはかなり低めなんだって。そして、日本人はテーブルを使用しようとして前屈み見える姿勢を好まないそう。
確かにおしゃれな応接室とかにソファセットが置かれていて、テーブルに手をのばしたら凄く前屈みになって使いにくいな...って経験はある!これって日本人特有の感覚なんだってことは初めて知りました()
LC4:シェーズロング
いわゆる寝椅子。実はこの椅子の実際のデザイナーはコルビジェさんではなく、コルビジェアトリエにいたシャルロット・ペリアンさん。アトリエの名前を冠してコルビジェ作品にノミネート。コルビジェさんが「休養のための機械」と呼んだこの椅子はまさにモデュロール大活用で人間工学に基づいて作られています。装飾を排除しながらもフォルムの美しさが際立っている、今でも廃れないデザインのチェア。
廃れないデザイン
正直、家具における革新的なデザインってどういうこっちゃって思っていました。ソファの形はソファだし、椅子は椅子だろうと。でも、コルビジェさんのLCシリーズを調べてみたらわかる気がした。計算しつくされていて、線の方向を少し変えても成り立たなくなってしまう。装飾を加える事は出来ても、基盤の形は変わらない。デザインって設計なのか。
LCシリーズはテーブルなど他にもあるみたいだけど、今回私が習ったのは4まで。また気が向いたら調べてみようー
参考:LC2とLC3を比べると、座り心地がこんなに違う!: Designest -デザイン至上主義-
参考:時代を超えて愛されるル・コルビジェの不朽の椅子 | VOKKA [ヴォッカ]